お金の話ア・ラ・カルト第8回(不動産投資の判断指標③)

ファイナンシャルプランナー  東 廣義

前回の例ではNO1(エヌオーアイ)償却前利益は、440万円でした。DSCR(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)債務返済能力を示す指標を健在な数値Ⅰ,5倍に設定しますと、440万÷Ⅰ,5=293万円となります。

借入金の元利均等返済額を293万円以下にするためには、アパートの金利3%、返済期間25年間の元利均等返済の場合、借入金は5,145万円となりこれが限界値になります。(年間返済額に年賦金率を掛けます)したがってこのケースでは、アパート購入資金に必要な資金7,500万円のうち、借入金で調達するのは5,145万円が限度となり、残りの2,355万円は自己資金で調達する必要があります。

次に上記のアパート投資で、アパート購入後、賃料収入が10%減少し、不動産管理コストが10%増加し、借入金利が3%から4%に上昇した場合を考えてみましょう。
この場合NO1は次のように計算されます。

NO1=5万円×90%×10室×12か月×(100%-10%)-100万円×110%=376万円
また借入金の元利均等返済金は、次のように計算されます。
年間元利均等返済額=借入金額5,145万円×年賦金率=326万円<NO1 376万円 

したがって、このように市場環境が変化した場合にも、年間元利均等返済額はNO1の範囲内に収まり、借入金の返済が滞らずに済みます。
このようにDSCRの指標を上手に用いれば、不動産投資における借入金の限度額について、具体的目安を立てることができます。
この場合足りない分を自己資金で賄う必要がありますが、自己資金をどう調達するのか新たな課題となります。

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